健診結果を健康管理に
活かしましょう
健康診断の結果は、検査項目ごとに「正常」「経過観察要」「精密検査要」「治療要」のいずれかに分類されます。これらの結果を正しく理解し、健康管理に役立てることが重要です。
診断結果の見方について
【異常なし】
測定された数値が正常範囲内であり、機能に問題がないことが示されています。
【要経過観察・要再検査】
測定された数値は正常範囲を超えていますが、即座に治療が必要な状態ではありません。この診断結果を受けて、生活習慣や食事の改善を通じて病気の予防や健康維持に努めましょう。当クリニックでは、診断結果に基づいた生活習慣改善のアドバイスも提供していますので、お気軽にご相談ください。
【要精密検査】
健康診断の結果が「要精密検査」となった場合、特定が難しい病気が疑われる可能性があるため、詳細な検査が必要とされています。ただし、必ずしも病気があるという深刻な状態ではなく、異常が見つからないこともあります。検査結果を過度に心配する必要はありません。要精密検査の場合は、早めに精密検査を受けることが重要です。当クリニックでは、精密検査や追加検査にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
【要治療】
「要治療」という結果は、即座に治療が必要な状態を示していますので、できるだけ早く専門の医療機関を受診することが重要です。
検査項目について
生活習慣病について
各検査項目において特に重要なのは、生活習慣病に関連するものです。生活習慣病は、生活習慣によって引き起こされ、動脈硬化を進行させ、脳や心臓に重大な影響を与える可能性がある疾患の総称です。早期に適切な生活習慣改善を行うことで、将来の健康リスクを軽減し、生活の質を向上させることができます。
生活習慣病は通常、自覚症状がほとんどないまま進行する傾向がありますので、早めに専門医の診察を受けることが重要です。
気になる方はお気軽にお問い合わせください。
肝臓機能障害
肝機能障害は、健康診断(特定健診や企業の定期健診など)でしばしば検出される異常です。健康診断で測定される主な項目は、主に「AST(GOT)」「ALT(GPT)」「γGTP」です。また、診療所や病院ではこれに加えて「ALP」「ビリルビン」などの項目も検査されることがあります。
肝臓には、肝細胞と胆管細胞という、肝機能の中心的な役割を果たす2つのタイプの細胞があります。ASTとALTは、トランスアミナーゼと呼ばれるアミノ酸の生成に必要な酵素で、主に肝細胞に存在しています(ASTは心筋や筋肉など他の臓器にも存在します)。一方、γGTPもアミノ酸生成に必要な酵素ですが、主に胆管細胞に存在しています。
肝細胞に障害が生じるとASTとALTが上昇し、胆管細胞に障害が生じるとγGTPが上昇します。肝臓に異常がある場合、AST(GOT)」「ALT(GPT)」「γGTP」が上昇する場合があります。
肝機能障害は検査血液検査でも肝機能の指標である「ALP」や「ビリルビン」「アルブミン」といった項目を追加で検査します。
当院では必要に応じてCT検査を行い、脂肪肝の程度や閉塞性黄疸の有無など、肝臓の状態を評価します
メタボリックシンドローム
内臓脂肪の過剰蓄積により、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が同時に合併し、動脈硬化が進行しやすい状態です。
複数の生活習慣病が合併すると、それぞれの病態は初期段階でも動脈硬化の進行が速くなり、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクが高まります。指摘を受けたら速やかに医師の診察を受けましょう。
血圧
持続的な高い血圧が特徴的な高血圧症です。この状態では、血管に長期間にわたって負荷がかかり、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが高まります。血圧が高いと指摘された場合は、高血圧症かどうかを確認するために医師の診察を受け、確定診断を受けることが重要です。
また、自宅での安静時の血圧測定結果がそれほど高くない場合は、数回計測してその結果を医師の受診時に持参してください。
コレステロール
コレステロールには善玉と悪玉があります。悪玉のLDLコレステロールと中性脂肪は動脈硬化を促進しますが、善玉のHDLコレステロールは動脈硬化を抑制します。高脂血症はLDLコレステロールと中性脂肪が増加する状態であり、動脈硬化のリスクが高まります。HDLコレステロールが不足している場合でも、動脈硬化が進行しやすくなります。
これらの状態は「脂質異常症」と呼ばれます。
small dense LDL
small dense LDLは「超悪玉コレステロール」と呼ばれます。
LDLコレステロールには、大小さまざまな種類があります。心筋梗塞などの心疾患を発症した人のLDLコレステロールを検査すると、特に小型のタイプが多くみられます。 小型LDLコレステロールは、その小ささゆえに血管壁に容易に浸透し、また肝臓に吸収されにくいため、血中に長時間留まり酸化されやすくなります。この性質が、動脈硬化の直接的な要因となりやすいため、「超悪玉コレステロール」となります。 悪玉(LDL)コレステロールが増えている人々の中でも、小型の超悪玉(LDL)コレステロールが多い人ほど、心筋梗塞の発症リスクが高くなる傾向があります。
血糖値
糖尿病は、血糖値が持続的に高い状態が続く病気です。高血糖は動脈硬化を進め、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こしやすくします。また、毛細血管にも悪影響を及ぼします。糖尿病には、失明や足の壊死、腎機能障害などの合併症があり、これらが放置されると生活の質を大きく低下させる可能性があります。
尿酸値
尿酸値が高いと、痛風の発作を引き起こすリスクが高まります。これにより、血管や腎臓に負担がかかります。一般的に、飲食物に含まれるプリン体が尿酸値に関与していることが知られており、プリン体を制限することが推奨されています。
しかし、プリン体の多い食品は多岐にわたり、アルコール類も尿酸値を上昇させる傾向があります。尿酸値を適切にコントロールするには、プリン体の制限だけでなく、カロリー制限や水分摂取量の増加、適度な運動も重要です。適切な制限を行うことで、生活や仕事に大きな影響を与えずに管理することができます。
医師との相談により、効果的で快適なコントロール方法を見つけることができます。
貧血
貧血は、一般的には鉄分不足や体内の出血によって引き起こされます。出血が原因で貧血が発生している場合は、迅速に出血源を特定し、適切な治療を行う必要があります。胃や大腸からの出血が疑われる場合は、内視鏡検査が行われます。
当院では、内視鏡検査を行っておりますので、安心してご相談ください。
肝機能
肝機能障害の有無を確認しています。異常が見つかった場合は、追加の精密検査が必要です。肝機能障害の原因には、アルコール摂取、肥満、ウイルス感染、薬物の副作用などが考えられます。肝機能障害は進行すると、静脈瘤が形成されて破裂することがあり、急速な治療が必要となることもあります。
したがって、異常が見つかった場合は迅速に精密検査を受けるようにしてください。
尿検査
尿中の血液や糖、タンパク質の量などをチェックして、糖尿病、腎機能障害、腎炎、尿路感染症、尿路結石、腫瘍などの有無を調べています。これらの病気は無症状で進行し、突然強い痛みが現れることがあるため、注意が必要です。
ただし、尿の状態は飲食物の摂取などによって影響を受けやすいため、異常が見つかった場合は追加の精密検査を受けるようにしてください。
心電図
心臓の機能を調べる検査です。不整脈、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、心筋症や心肥大などの疾患がないかを確認します。日常生活で息切れや胸の痛みなどの症状がある場合には特に注意が必要です。これらの症状があり、心電図に異常が見られた場合は、専門医の受診をおすすめします。
一方、異常が見つからない場合でも、精密検査によって重篤な疾患が見つかることもありますが、経過観察だけで十分な場合もあります。過度に心配することなく、お気軽にご相談ください。
胸部レントゲン検査で
異常となったら
まずはなるべく早めに胸部CT検査を受けるようにしてください。健診の胸部レントゲン検査で引っかかった方でもCT検査で問題がないことが多いです。胸部には血管や肋骨など様々な臓器があり、一時的に濃く見えることがあります。
当院では、放射線技師が常勤で在籍しておりますので、スムーズに検査を受けていただくことが可能です。
CT検査は比較的短時間で撮影が可能であり、閉所恐怖症がある患者様でも実施可能なことがほとんどです。
近年、被爆を低減させる技術が進化しており、身体へのダメージもほぼなく安心して受けることができます。
肺がんや結核などの重要な疾患を
見逃さないことが大事です
胸部レントゲン検査で異常が見つかった場合、胸部CT検査ではその部位の評価だけでなく、肺全体の評価も行います。たとえば、喫煙者で肺気腫と呼ばれる肺の病気や早期の肺がんなどを確認することができます。
健診で異常が見つかった場合、胸部CT検査は保険適用となります。この機会にぜひCT検査を受けていただき、様々な意味で安心してください。